2008年08月29日
Dark Matter

昨日は、高山でも72mmの猛烈な雨が降ったとニュースで報じていました。
8月下旬の豪雨、というと昔の「飛騨川バス転落事故」が思い出されます。
この時期の飛騨地区、雨による土砂災害には十分ご注意を。
さて今回は、豪雨でもほとんど関係のない、山の地中奥深くのお話。
天文物理学の世界ではすっかり有名になった「カミオカンデ」は、以前のエントリでも取り上げましたが
あちらは「ニュートリノ」を観測する施設。それに加えて、今度の新しい施設が観測するのが
現在、暗黒物質(ダーク・マター)といわれているものです。
今では常識となった「宇宙は膨張している」という、いわゆる「ハッブル理論」
この「膨張している宇宙」が成り立つためには、宇宙の中にはある程度の物質の質量がある、
という計算が(詳しいことはとっても難しいのですが)確実な数式によって導かれます。
ところが、現在観測されている銀河・星雲・星その他の質量を全部足したとしても、
その計算値には全然届きません。計算による理論値の1/10程度なんだそうです。
で、この矛盾を説明するために考え出されたのが「ダークマター理論」です。
簡単に言えば「宇宙には、目にも見えず観測も出来ていない物質が大量にある。だから観測値が
少なくても、計算は合うのだ」という、一見強引な理論です。
実はある時期、「ニュートリノがダークマターでは?」という疑問が出ていました。
発見された当時は「質量が無い=他の物質とぶつかったりして反応しない」といわれていた
ニュートリノ。しかし、それを観測するカミオカンデのデータから「ごくわずかではあるが質量を持つ」
事が確認されたのです。これもカミオカンデの残した大きな業績なんですね。
ところが、これで一件落着・・・とはならず。データから出たニュートリノの質量では、
まだほとんどのダークマターをこれだけで説明できない、つまり「ニュートリノだけでは足りない」
事も判明しました。(これまで考えられていたダークマター総質量の1割程度だそうです)
さあ、そこで「残りのダークマター探し」が始まったわけです。
そのための新施設・・・確か以前は「ハイパーカミオカンデ」と名乗るとかいう話も聞いたように思いますが
またもこの施設で新たな画期的発見がなされ、"KAMIOKA"の名前が天文学や物理学の世界に
残っていくといいですね。
世界初の発見目指す 「暗黒物質」解明へ意欲
観測施設、来夏から本格運用
暗黒物質の世界初の検出を目指して意欲を燃やす鈴木洋一郎教授
東京大学宇宙線研究所・神岡宇宙素粒子研究施設(飛騨市神岡町)は27日、宇宙に漂う正体不明の物質「暗黒物質(ダークマター)」の解明を目指す観測施設「XMASS(エックスマス)」に使われる神岡鉱山跡の空洞を報道陣に公開した。来年夏から本格運用を始め、世界初の発見を目指す。
暗黒物質は、宇宙ができた直後にでき、宇宙に存在する全物質の80%を占めると言われる。しかし、光も電磁波も出さないため観測が難しく、詳しい性質は分かっていない。
この分野は世界でも最先端の研究で、神岡町の神岡鉱山跡にある地下1000メートルのスーパーカミオカンデ近くに、新たに巨大な空洞(奥行き20メートル、高さ、横とも15メートル)を設けた。
今後、暗黒物質の検出器となる光電子倍増管約650本を入れ、中を液体キセノンで満たした球状の観測装置(直径80センチ)を取り付ける。この装置は、暗黒物質がキセノンの原子核と反応した際に発する光を検出する。検出できる感度はスーパーカミオカンデの1000倍にもなる。
世界に先駆けて観測できれば、スーパーカミオカンデでの研究とともにノーベル賞級となる。
同研究施設長で、グループをまとめる鈴木洋一郎・東大教授(58)(宇宙素粒子物理学)は「世界で競争が激しくなっている分野なので、早く検出したい」と意欲を燃やしている。
(2008年8月28日 読売新聞)
Posted by まこちん。 at 13:35│Comments(0)
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